
4年前の子宮頸がん検診で異常が見つかって以来、定期的に経過観察を続けてきました。良くなることも多々あるようですが、「高度異形成」と「中等度異形成」の間という検査結果(CIN2〜3)が二年連続となり、今回ついに紹介状を持って総合病院を受診することになりました。
予約なしで8時半の受付に間に合うように病院へ。到着してまず驚いたのは、その人の多さ。「佐賀でこんなに人が集まる場所、他にあるだろうか」と思うほど、朝から病院内は大賑わいでした。静かに始まるカフェやお店とは違い、病院は開院と同時にフルスロットルで動き出す。そのことに、改めて医療現場の独特な時間の流れを感じました。
職業柄なのか、つい働く人たちの様子を観察してしまいます。受付案内の女性は、おそらく人と話すのが得意ではなさそうな、ちょっぴり気弱そうなスタッフ。それでも一生懸命に対応していて、私は「ありがとうございます」と声をかけ、とてもわかりやすかったよ、という気持ちを笑顔で表しました。医療や看護業界は、新入社員のリアリティショックが大きく、志があっても、メンタルが強くないと残っていけないような職場環境だとよく耳にしますが、頑張って続けてくれるといいなと思います。
その後、ゆっくりと病院を見渡してみると、耳が遠い高齢者に向けて番号を何度も叫ぶスタッフや、窓のないカウンターの中にぎっしりと詰め込まれたデスクが目につきます。ここで働く人たちは、きっと相当な体力と精神力が必要なんだろうなと感じました。医療業界は人手不足が深刻だと言われています。自動会計機や自動受付などの工夫も進んできましたが、それでもなお現場の疲弊は大きいように思いました。
そういえば、私がキャリアコンサルタント養成講座を受けていたときも、クラスの中に看護師の方がいました。最近は特に、医療や福祉の現場で働いている方が、「現場の働き方をもっとよくしたい」「働いている人の心のケアをしたい」といった想いを持って受講されるケースが増えているように感じます。医療現場のリアルな課題を内側から変えようとする人たちの存在は心強い。志を持って医療・看護を学び、その仕事を選んだ若い芽を、病院側にいる私たちが大切に育てる必要があるのではないか、と言われていた受講者の方の言葉が今でも鮮明に記憶に残っています。
そして、今回の私自身の診断について。
手術は「してもしなくてもよい」と言われました。医師からは、「あなたの意思を尊重します」と丁寧に伝えられ、選択は私に委ねられました。私はなんとなく、そろそろ手術した方がいいかなと思っていましたし、定期検査を続けるという不安定な状態が続くのが嫌だと思い、覚悟を決めて10月に手術を受けることにしました。自分で選ぶというプロセスそのものが、自分の人生を主体的に歩くことにつながっていると感じています。
終わりに
日常のなかで当たり前に感じている医療体制の裏側には、たくさんの葛藤や努力、そして人の想いがあります。その現場で働く人たちの支援や心のケアにも、キャリア支援の視点が必要になってきているようです。命に関わる現場だからこそ、厳しさと支えの両方が必要で、そのバランスをとることがとても難しい。医療業界は、高い志を持って進まれている方が多いようの思います。その志に甘えることなく、患者として、キャリアコンサルタントとして、できることは何なのか、考えるきっかけをくれた通院でした。
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