ベリーダンスを始めたら、仕事中心だった私の世界が広がった

「インドに永住するん?」
「ダンサーになるん?」
「インド料理屋するん?」

長く勤めた会社を退職するとき、複数の人から言われた言葉です。

みつみねなな=インド。

かなりこのキャラが際立っていたようですが、もともと海外に積極的だったわけではありません。英語は苦手だし、日本にも見るところはたくさんある。そう思っていた私の世界が広がるきっかけになったのが、ベリーダンスでした。

仕事と家の往復に、何かを足したくなった

東京勤務も4年目に入った、20代後半の頃。それなりに東京人っぽくなり、慌ただしい日々を、東京の波に流されるように過ごしていました。

仕事と家の往復だけではなく、何かを始めたい。自分を解放できる何かを。

そうだ、ダンスを習おう!

学生時代、本当はチアリーダーにすごく憧れていました。でも、体は硬いし、腕の力もない。倒立も側転もできない。「絶対無理や」とあっさり諦め、その思いを封印していたんです。

大人になって、趣味として踊るくらいなら、チャレンジできるんじゃないか。

そう思い立ち、「ケイコとマナブ」などで習い事を探し始めました。フラメンコ、フラダンス、バリ舞踊、バレエ。どれも、なんとなくしっくりこない。

そこで目に入ったのが、ベリーダンスでした。

「ん? 何やっけ、このダンス?」

検索してみると、なんともエキゾチックで、妖艶なダンス。

よし、これに決めた! パッと見て一目惚れでした。自分が踊っている姿を少しでも想像できれば、私の中ではもう決まり。こういう決断は早く、さっそく体験レッスンへ行くことにしました。

同じダンスでも、教室の空気は全然違った

最初に訪ねたのは、新宿のベリーダンス教室。ドキドキしながら扉を開けると、なんだか空気がもう、オンナです。

先生はインカムをつけていて、スポーツジムのエアロビクスの先生みたい。生徒さんもみんな大人に見えて、なんだか場違いな気がしました。自分も十分大人なのに。

全くの初心者なのに、「え!?」というステップと、「え!?」というお腹の動き。見よう見まねでついていき、何が何だかわからないまま60分が終了しました。

チーン。

元気な先生だったんですよ。でも、当時の私にはテンポが速く、一つひとつの動きを確かめる余裕がありませんでした。

翌日は、これまで筋肉痛になったことのない、お腹のあたりが痛い。普段使っていない筋肉を、よっぽど動かしたんでしょうね。

それでも、ベリーダンスへの熱は消えませんでした。もう一つ、違うところで体験してみよう! と、めげずに探したんです。

次に訪ねたのは、高田馬場の教室。こちらの先生は、ほんわかした笑顔がとてもキュートで、自然体。体の動かし方も、一つひとつ丁寧に教えてくれました。

空気が合う。肌に合う。これって、やっぱり大事ですね。

ここで初めて、音楽をちゃんと聴きながら体を動かせました。

ドンドンドン。

体の奥に響く重低音と、心地よい解放感。最初の教室では、ついていくのに必死で、音楽を楽しむ余裕もなかったんです。

鏡を見ると、先生とは全然違う、奇妙な動きをしている自分がいましたが。

「最初はみんなできないですよ」
「私もできなかったので、大丈夫ですよ」

クラスメイトの温かい言葉に、ほっとしました。できないままでも、ここにいていいんだな。

よし、ここだ! レッスンが終わる頃には、入会を決めていました。この教室に出会わなかったら、その後の私も違っていたかもしれません。

先生、ありがとうございます。

当時通っていたのは、バルシュオリエンタルダンススクールです。

会社の外に「ベリ友」ができた

ベリーダンスのレッスンで出会った友達、略して「ベリ友」。

それまでの私は、かなりの仕事人間でした。会社以外の友達といえば、学生時代の友達くらい。飲み会も、たいてい社内の方たちと。

好きでもない合コンに何回か参加しましたが、女性の友達が増えるわけでもありません。男性との出会いも特になかったような。あ、あったかも? そこは記憶があやふやです。

そんな私がベリーダンスを始めたことで、会社の外に、一気に交友関係が広がりました。

当時のベリ友たちを、私の勝手な見解で表すと、見事な「5P」。

  • Positive:前向きで
  • Passion:情熱があって
  • Pretty:魅力的で
  • Peaceful:穏やかで
  • Purpose:自分なりの目的を持っている

「楽しいことが好き」「私はこれが好き」。そんな、自分の好きなものを大事にしている人たちでした。

一人で、私がよく知らない国へ旅行に行く人。外国の方とお付き合いしている人。ヨガやアーユルヴェーダを楽しんでいる人。

その頃の私には、知らない話ばかり。レッスンで一緒に踊り、そのあと食事をしながら話を聞いているうちに、好奇心がどんどん外へ向いていきました。

ちなみに、27歳頃までに行ったことのある海外は、グアム、中国、イタリアの3か国だけ。英語が苦手で、海外には奥手だった私が、少しずつ変わっていくんです。

「自分を変えよう!」と思ったわけではなく、楽しく通っていたら、自然に世界が広がっていました。

踊る楽しさに、観る楽しさも加わった

実は、習い始めた時点では、生のベリーダンスを観たことがありませんでした。この中途半端な下調べでも、とりあえず前に進んでしまうのが私です。

初めてショーを観に行ったのは、新宿のトルコ料理店、ボスボラスハサンでした。

レストランなので、ダンサーとお客さんの距離が近い。先生のダンスを間近で観ると、「お腹に何か住んでるんじゃないか?」と思うような動きで、圧倒されました。

踊るだけではなく、観るのも楽しいんだ。

ショーの最後には、ダンサーとお客さんが一緒に踊る時間もありました。人前で踊るなんて、中学校のフォークダンス以来。最初は、かなり恥ずかしかったです。

でも、楽しさに味をしめた私は、ベリ友といろんなショーを観に行くようになりました。お料理と音楽とダンスと、おしゃべり。レッスンとはまた違う楽しみ方です。

そのうち、外国の方が主催する船上パーティーにも出かけ、初対面の人たちと踊りまくったことも。

あの「恥ずかしい……」と思っていたのは、いつの日や。

英語は相変わらず得意ではないけれど、外国の人や文化が、ずいぶん身近になっていました。周りからどう見られるかより、自分が楽しむことに気持ちが向くようになったのかもしれません。

発表会には出る。でも、知り合いは呼ばない

ベリーダンスを習っていると言うと、「ななさんのダンス見たい!」「発表会に呼んで!」とよく言われました。

でも、断固拒否。

踊るのは好きだけど、知っている人には見られたくない。これは私のもう一つの顔で、私だけの世界。そんな気持ちもあったと思います。

誰かに華麗なダンスを見せるために、始めたわけではありません。ただ、自分が楽しいから。

自分が楽しむのが目標。それが、長く続いた理由だった気がします。

教室では年に数回、発表会がありました。振り付けを覚え、みんなでフォーメーションを合わせて、舞台の上で踊ります。

いつものレッスン着とは違う、きらびやかな衣装に身を包むと、それだけでも気分が変わります。

ただ、私、振り付けを覚えるのが超苦手だったんです。

なので、レンタルスペースを探して、仕事終わりや週末にベリ友と自主練。知り合いは誰も呼ばないのに、練習は頑張っていました。

一つの曲をみんなで仕上げる。その共通の目標があったから、発表会前はぐっと仲が深まる時期でもありました。練習後の食事やおしゃべりが楽しかったのも、もちろんあります。

仕事以外の友達と、仕事以外のことに夢中になる。そんな時間ができたことは、私にとって大きかったです。

転勤先で、もう一度「自分に合う」を探す

東京で楽しく通っていた私ですが、大阪へ転勤することになりました。せっかく出会えた先生や仲間と離れ、また教室探しからです。

大阪にもたくさんあるだろうと思っていたのですが、当時、私が通える条件で探すと、意外と選択肢が少ない。東京では恵まれた環境で習えていたんだなと、改めて感じました。

ネットで立地や料金、時間帯を調べ、最後の決め手は、やっぱり体験レッスン。

  • 通っている人や、レッスン中の雰囲気
  • 先生の人柄や、教え方
  • 今の自分が望んでいることと合っているか
  • ここに通う自分の姿を想像できるか

自分の時間とお金を使うのだから、ここはわがままになってもいい。実際にその場へ行って、感じてみました。

3つの体験レッスンに参加し、結局、2つの教室に通うことに。大阪では少し仕事に余裕ができたので、「週2回、行けちゃうな」と。

そして、選んだクラスは、どちらも外国人の先生でした。

初心者だった頃は、丁寧に体の動かし方を教えてもらえる安心感が大事でした。東京で4年続けたあとの私は、それに加えて、先生それぞれの表現や踊り方にも触れてみたくなっていたんだと思います。

日本にいながら、週2回、海外気分。ところが、先生が帰国してしまうこともあるとは、そのときはまだ知らず……。

大阪で習っていた先生の一人が、Tania Luizです。美しすぎて倒れないでくださいね〜。

仕事以外にも、大事にしたい時間がある

会社員時代、周りにはバレエやフラメンコを習っている人もいました。仕事をしっかりこなし、お稽古の日は時間を調整して、颯爽と帰っていく。その姿が、いいなと思っていました。

発表会が近づけば、練習にも力を入れる。会社の外にも、自分が大事にしているものがあるんですね。

私もベリーダンスを始めて、会社とは違う職業の人たちと出会い、知らなかった話を聞くようになりました。仕事中心だった生活の中に、もう一つ、楽しみな場所ができたんです。

子どもの頃の習い事は、親に勧められて始めることもあります。私もスイミングは、母の判断で通うことになりました。

小学校のプールの授業で、プールに入る前のシャワーで息ができなかった。その話を聞いた母が、「やばい、この子は泳げへん!」と思ったらしく、一通り泳げるまで通わされたんです。

おかげで、クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライまで習いました。今も泳げるかは、わかりませんが。

バタフライができて得をしたことといえば、大人になって軽く泳いでみせて、笑いが取れたことくらいでしょうか。関西人としては、おいしかったです。

大人の習い事は、自分で選べます。何をするかも、どれくらい通うかも、何のために楽しむかも。

私にとってベリーダンスは、上達して仕事にするためではなく、自分が楽しむためのものでした。それでも、出会う人が変わり、興味が広がり、その後の旅にもつながっていきました。

好きなものは、変わってもいい

2021年にこの記事へ追記した頃には、私の興味は、ベリーダンスからヨガへ移っていました。

踊る楽しさや解放感を求めていたところから、体の状態を整えて、長く健康でいたいという気持ちへ。自分が求めるものも、少しずつ変わっていたんです。

始めた習い事を、ずっと続けなければいけないわけではない。そのときの自分に必要なものへ、置き換わってもいいと思っています。

ベリーダンスを離れても、そこで出会った人や、夢中になった時間、知らない世界へ飛び込んだ経験は残っています。

あのとき「そうだ、ダンスを習おう!」と思って、よかった。

仕事と家の往復だけだった私には、想像していなかった楽しみが、そこからいくつも増えました。

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何かを始めたいけれど、何がしたいのかわからない。仕事以外の時間も、もう少し大事にしたい。

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最終更新日:2026年10月8日 (投稿者:nana)

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