
部下を見る立場の人はいても、その管理職自身を見ている人は、案外少ないものです。
組織やチームを動かす立場になるほど、「ちょっと誰かに話してみたい」と思っても、意外と話せる相手がいません。
大きな問題が起きているわけではない。すぐに答えを出さなければならないわけでもない。でも、なんとなく引っかかっている。
そんな小さな違和感ほど、一人で抱えたままになりがちです。
部下にも、上司にも、同僚にも話しにくい
部下に話せば、余計な心配をかけるかもしれません。
弱気になっていると思われたくない。誰かへの不満を話せば、チームの人間関係にも影響します。
上司へ相談すると、思っていた以上に話が大きくなったり、評価や人事の問題として扱われたりする可能性もあります。
同僚には、同僚の立場があります。同じポジションだからこそ比較されたり、社内の噂になったりすることを考えると、何でも話せるわけではありません。
家族や友人に話しても、職場の人間関係や組織の背景までは伝わりにくいものです。
結局、「もう少し自分で考えてみよう」と、一人で考え続けることになります。
一人で考え続けると、同じ場所を回ってしまう
考える力のある人ほど、自分で何とかしようとします。これまでにも、いろいろな問題を自分で整理し、乗り越えてきたからです。
ただ、頭の中だけで考えていると、次のようなものが少しずつ混ざっていきます。
- 実際に起きている事実
- 自分の推測
- 相手への感情
- 「こうあるべき」という考え
- 過去の経験からくる警戒心
「部下がやる気を失っている」と思っていたけれど、実際には、自分から声をかけにくい状況になっていただけかもしれません。
「自分がもっと頑張らなければ」と思っていたけれど、本当の課題は、自分の頑張りではなく仕事の分担にあるのかもしれません。
「会社を辞めたほうがいい」と考えていたけれど、辞めたいのは会社そのものではなく、今の役割なのかもしれません。
誰かに話すことで、自分が事実だと思い込んでいたことが、実は一つの見方にすぎなかったと気づくことがあります。
相談することは、答えをもらうことだけではない
相談というと、「困った人が、詳しい人に答えを教えてもらうもの」というイメージがあるかもしれません。
でも、管理職が抱える問題には、唯一の正解がないことも多くあります。
部下にどこまで任せるのか。厳しく伝えるのか、しばらく見守るのか。管理職として今の役割を続けるのか。自分の仕事や人生を、これからどうしていくのか。
誰かに決めてもらっても、自分が納得していなければ動くことはできません。
必要なのは、正解を教えてくれる人ではなく、自分の考えを言葉にし、整理するための相手なのかもしれません。
利害関係のない相手だから話せることがある
社外の相手であれば、社内の評価や人間関係を気にせずに話せます。
話したからといって、すぐに何かを決断する必要もありません。
まずは、頭の中にあることを出してみる。問いかけられて、もう一度考えてみる。第三者から見えていることを聞いてみる。
そうすることで、
- 本当は何に困っているのか
- 何を優先したいのか
- 自分にできることは何か
- まず、何から始めるのか
が少しずつ見えてきます。
これは、話を聞いてもらって気持ちを軽くするだけの時間ではありません。
もちろん、話すことで気持ちが軽くなることもあります。そのうえで、自分が置かれている状況を整理し、現実を動かすための「次の一手」を決める。
それが、壁打ちをする意味だと考えています。
一人で考え続ける前に、話してみる
管理職だからといって、すべてを一人で抱える必要はありません。
問題が深刻になってから相談するのではなく、「まだうまく説明できないけれど、少し気になっている」という段階で話してもいい。
むしろ、その段階で一度立ち止まることで、問題が大きくなる前にできることが見つかる場合があります。
答えがまだ見つかっていなくても大丈夫です。
今起きていることを言葉にしながら、何が大切で、次に何をするかを一緒に整理していきます。
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