
「何度言っても、部下が動かない」
「自分から仕事を見つけようとしない」
「結局、自分がやったほうが早い」
管理職やリーダーから、こうした話を聞くことがあります。
確かに、本人の仕事に対する姿勢に問題がある場合もあります。
ただ、「やる気がない人」と決める前に、少し見直してみたいことがあります。
「仕事をしない人」と同じチームになった
会社員時代、50代の男性管理職と同じチームになったことがあります。
周囲からは「あの人は仕事をしない」と思われ、みんなが不満を持っていました。
実際、普段の様子を見ていると、あまり積極的に仕事をしているようには見えませんでした。
でも、その人には得意なことがありました。Accessを使ったデータ処理です。
私はその分野に詳しくなかったので、「私は分からないので、教えてください」とお願いしました。
また、本人が好きそうだと思った仕事を、具体的に頼むようにしました。
すると、その人は見違えるほど働いてくれるようになりました。
本当に「やる気」がなかったのか
その人に能力がなかったわけではありません。仕事ができなかったわけでもありません。
自分の得意なことを生かせる役割や、必要とされている実感がなくなっていただけなのかもしれません。
人は誰でも、どんな仕事でも、同じように力を発揮できるわけではありません。
得意なこともあれば、苦手なこともあります。細かく指示されたほうが動きやすい人もいれば、目的だけ伝えて任されたほうが力を発揮する人もいます。
人を支えることにやりがいを感じる人もいれば、自分の専門性を頼られることでやる気が出る人もいます。
これは男性社員との経験ですが、性別や年齢にかかわらず、「やる気がない」という一言でまとめてしまうと、その人が動けない本当の理由が見えなくなります。
指示を待っているだけかもしれない
別の職場でも、ほとんど仕事をしていないように見える年上の男性がいました。
暇そうにしていたので、「これをお願いします」と、できそうな仕事を具体的に頼んでみました。
すると、ちゃんとやってくれました。
言ったら、やってくれる。
ただ、自分から仕事を探して動くタイプではなかったのです。
もちろん、管理職がすべて細かく指示し続けるのが正解ではありません。
それでも、最初から自律的に動くことを求める前に、次のことが相手に伝わっているかは確認できます。
- 何をしてほしいのか
- どこまで任せるのか
- いつまでに必要なのか
- 何のためにする仕事なのか
こちらは説明したつもりでも、相手には曖昧にしか伝わっていないことがあります。
「任せる」と「放っておく」は違う
管理職自身が仕事のできる人ほど、「これぐらいは言わなくても分かるだろう」と思いやすくなります。
自分が若い頃は、自分から聞き、自分で考えて動いてきた。だから部下にも、同じように動いてほしい。その気持ちはよく分かります。
ただ、これまでの経験も、得意なことも、仕事に求めているものも、人によって違います。
「自分で考えて」と任せたつもりが、相手には、何を求められているか分からないまま放っておかれたように感じられているかもしれません。
任せるためには、最初に役割や目的を共有する必要があります。そして、途中で困っていないか確認することも必要です。
部下が動かないときに考えてみたいこと
その人は、何が得意ですか?
今任せている仕事だけでなく、過去にうまくできていたことや、頼まれると楽しそうに取り組むことに目を向けます。
依頼は具体的に伝わっていますか?
「もう少し主体的に動いてほしい」では、人によって受け取り方が変わります。何を、どこまで、いつまでにしてほしいのかを確認します。
その仕事の意味が伝わっていますか?
作業だけを渡されるより、その仕事が誰の役に立ち、全体のどこにつながるのかが分かるほうが動きやすい人もいます。
相手の力を借りていますか?
年上の部下や経験のある社員には、「教えてください」と頼ることで、その人が持っている力が見えてくる場合があります。
本人の問題だけにしていませんか?
仕事の分担、職場の人間関係、評価のされ方など、本人以外のところに原因がある可能性もあります。
それでも、動かない人はいる
関わり方を変えれば、すべての人が動くわけではありません。
こちらが丁寧に伝えても、反発する人もいます。人間関係や過去の感情が複雑に絡み、管理職一人の働きかけだけでは変えられないこともあります。
その場合は、相手に好かれようと無理をするのではなく、
- どこまで関わるのか
- 何を求め、何は求めないのか
- どこから先は上司や組織と共有するのか
を決めることも必要です。
人の力を引き出すことと、すべてを自分で背負うことは違います。
「部下が動かない」の中身を整理する
部下の問題に見えていることが、実は仕事の渡し方の問題かもしれません。
本人のやる気の問題だと思っていたことが、役割の不明確さや、得意なこととのズレから起きている場合もあります。
反対に、どれだけ関わり方を変えても難しく、距離や線引きが必要な相手もいます。
大切なのは、「この人はやる気がない」で思考を止めず、今何が起きているのかを分けて考えることです。
壁打ち戦略会議では、部下やチームの状況を伺いながら、管理職自身が変えられることと、変えられないことを整理します。
そのうえで、次にどんな関わり方をするのかを一緒に考えます。
関連記事:
なぜ私は、管理職・中間管理職の「社外の壁打ち相手」になりたいのか
管理職が「ちょっと相談したい」と思ったとき、話せる相手はいますか?
壁打ち戦略会議|モニター5名募集
現在、「壁打ち戦略会議」のモニターを先着5名で募集しています。
「部下が動かない」「人に任せられず、自分が抱えてしまう」「チームがうまく動かない」など、組織や人に関するテーマもお話しいただけます。
対象は、経営者、管理職、中間管理職など、組織やチームを動かす立場にある方です。性別は問いません。
誰かを一方的に変える方法を考えるのではなく、今起きていることを整理し、管理職自身にできる次の一手を一緒に考えます。
壁打ち戦略会議の詳細・お申し込み









この記事へのコメントはありません。